あの道を、貴方と。

什伍

「そういえば新、暗号ちゃんと解けたじゃん」

須賀川から出て二日。わたしたちは福島に向かって森の中を歩いている途中。

周りに特に人もいないし、等躬宅ではこんな話できないしね。

あの後、あの手紙を知ったそれぞれの藩主は、両藩家老を解任した。

元々彼らは横暴がひどかったみたいで、特に混乱もなく引き継ぎが行われたそう。等躬さん達も結構喜んでた。

「あーまぁ、ギリギリだったぞ」
わたしが新に送った手紙の暗号はもう燃やしてないけど、内容はちゃんと覚えている。


参弍壱零伍伍弍捌参壱参陸壱伍壱伍壱参弍弍伍陸参壱零伍壱壱伍壱弍参漆伍参弍弍参漆伍


「俺、最初はあれかと思ったんだ。初めて主人様から手紙が来た時のやつ。でもそうだと十なんてなかったし、そもそも千夜がそんな簡単にするか?ってな」

「まぁ、絶対のバレたらだめなやつじゃん。でも、仕組みがわかったら簡単だったでしょ?」

「まぁな」

「せっかくだし、解説、お願いしても?」

「あぁ。もちろんだ。あれは主人様と同じような仕組みの暗号だ。ただ、当てる表はいろはじゃない。あいうえお表だ」

「正解!」

新は軽く笑って懐から折り畳まれた紙を取り出してわたしに見せる。


  壱弍参肆伍
壱 あいうえお
弍 かきくけこ
参 さしすせそ
肆 たちつてと
伍 なにぬねの
陸 はひふへほ
漆 まみむめも
捌 や ゆ よ
玖 らりるれろ
什 わ を ん


「こう、だろ?で、これを主人様の時と同じようにやると[しんにゆうはななしこふんあなくもしくも]になる。濁点とかを補強すると[しんにゅうはななじごふんあなぐもじくも]になる」

「そうそう!ってかこれ、わたしが書いたやつじゃん。まだ持ってたの?」

「あー時間がなくってな。まだ検証できてなかったんだ」

「いや、だからって任務先にも持っていく?」

「まぁ、これのおかげで無事解読できたんだからよかっただろ?」

ニッと笑う新に突っ込もうと思っていて用意していた覇気がどっか飛んでいって思わずため息をつく。

「あ、それ関連で思い出したけど、あの芥川流の人たちはどうなったの?」

「あ、あいつらか?あいつら、仲間の子供をあの狸親父に誘拐されて、仕方がなく従ってたらしくってな。狸親父が解任されて無事子供が戻ってきたからお役御免。あいつら筋があったし本人たちも主人様に仕えることを望んでいたから忠誠心を見るための拷問をして、無事通ったら主人様に仕えるための特別な訓練を受けてる・・・はずだ」

「・・・ちなみに、その特別な訓練を教える人の名前は?」

「んぁ?全員は知らないぞ?一言に指南番と言っても色々種類があるしな。知ってるのは俺の担当だった紅葉さんと作助さんぐらいだが、後三、四人ぐらいるって主人様は言ってた」

「・・・ホントに、わたしもう突っ込まないよ⁉︎もうこんなに擦らなくて結構だから‼︎」

「・・・?千夜?なに言ってるんだ?擦るってなにをだ?」

「〜!新は絶対に知らないからいい!これ、いつか絶対坂口とか、大倉とか、田山とか出てくるって!」

「ん?坂口?大倉?田山?そういえばそんな名前の・・・」

「もういい!もういいから!その先を言ったらだめな気がする!」

「そ、そうなのか・・・」

そうなの!と話を切ってちょっと息切れた息を整える。

「わたしももう、気にしないことに・・・」

するから、と言おうとしたけどいえなかった。だって、上から、なんでか木の枝が落ちてきたもん。

(あ、やばい、意識が、落ちる・・・)

「千夜!大丈夫か⁉︎千・・・く・・・」

だんだん新の言葉が聞き取れ無くなっていく。

視界が真っ白になって、真っ暗になった。
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