あの道を、貴方と。
「・・・って啖呵を切ったのはいいんだけど・・・」

一時間後、わたしは歩いていた足を止めて周りを見渡す。ここ、さっきも通った道のような・・・

(ひ、標識プリーズ!)

どこをどういけば日光に着くのか皆目見当がつかないんだけど。

(誰かに道を聞くのも恥ずかしいし、ってか、お腹すいた・・・)

さっきまではバックに入っていたポテチと水筒に入っていた水で飢えと乾きを回避していたけどついさっきお水は飲み切ったしポテチもそろそろ飽きてきた。

非常食としてカロリーメイトはできるだけ食べたくないし・・・。

(お金、稼がないと・・・)

でも、身元が全くわからないわたしを雇ってくれるところなんてあるんだろうか?

(・・・うん、ないね。多分)

思わずため息をつく。しょうがないし、誰かに道を聞こうかな、と思ったその時。

(・・・あれ?)

思わず振り向いて今すれ違った男性を見る。

(・・・あの人・・・忍者、だ)

歩き方が忍者の歩き方、『常の足』だった。ちなみにこれは、普通の歩き方に比べて体の上下動が少ない歩き方。一般人なら気づかないと思うけど。

(舐めないでよね。わたしは松本流の忍者なんだから!でも、どうしよう・・・ついていくか、否か)

答えはすぐに出た。

(ついていこう!)

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