忘れられた恋の物語
「柚茉がここにいるって言ってくれるまで離さない。」


『酷い手』と彼は言った。でもこれは優しさだ。

自分を悪者にして私がここにいたいと言えるようにしてくれたのだ。


「本当に離さないよ?ほら言って。」


もう断ることなんて出来なかった。


「…斗亜。今日は一緒にいてくれる?」

「…ありがとう。」


後頭部を押さえていた手が優しく私の頭を撫でる。

ゆっくりと顔を上げると優しく唇が重なった。


「さっき柚茉が言ってくれた時に、俺は言えなかった。」


至近距離で斗亜がささやく。


「何を?」

「本当に好きだよ。柚茉が思ってるより俺は柚茉が好きなんだよ。」


彼の告白が胸に響いた。

突然甘くなった雰囲気に緊張してしまった私はパッと体を離した。

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