忘れられた恋の物語
もう一度愛してくれたら 飛田side
気がついたら、何もない空間にいた。

それは突然の交通事故で俺が死んでから5年経った頃だった。

俺はその日、心残りを解消する機会を得た。心残りはただ1つだった。

『もう一度、澪に会いたかった』ということ。

澪(みお)とは幼なじみで、高校2年の時に付き合い始めた。明るくて活発で、小さい頃は彼女のことが少し怖かったくらい気の強い芯のある人だ。

怖かったはずなのに…いつの間にか目で追い始め、近付きたくなり、好きになって、愛した。俺が生きた人生で唯一で、そして一番愛した人だ。

そして24歳の時、澪にプロポーズした。小さい頃からずっと一緒だった。そしてこの先もこの人しかいないと思ったから。

プロポーズした時、澪は見たことがないくらい泣きながら最高の笑顔を見せた。あの時の澪の綺麗な姿を今でもはっきり覚えている。

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