忘れられた恋の物語
「いつも優輝は私が強いって言うけど、私が強くいられたのは優輝がいたから。この性格のせいで私が誰かと揉めても、いつも後ろに優輝が立っててくれた。でも優輝がいなくなってから…。」


言葉に詰まった澪は俺から顔をそらした。


「1人になって臆病者になったみたい。誰かに嫌なことを言われても上手く言い返せないの。」


信じられなかった。澪が前に進めなくなったのは恋愛に対してだけだと勝手に思っていた。

でも俺が死んだことで澪の性格まで変えてしまったのだ。あの魅力的な彼女の強さまでもを。

俺はわかっていなかったのだ。残された人の気持ちを。大事な人を失うということは、その人の人生をも変えてしまう可能性があるのだと。

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