忘れられた恋の物語
「残された人がどれだけ苦しんでるか…。人の気持ちがないんだね。お前心が死んでるよ!消えろ!」


俺が小さい頃に怯えていた気の強さは今も健在のようだった。

でも好きになってからは、こういうところも愛していた。俺に何かあるたびに、この気の強さで何度も俺を守り救ってくれた。


「もう苦しむな。俺のことは忘れろ。忘れて幸せになれ。澪は強いんだから。」

「…なんで。」


動揺したように瞳が揺れた後、澪の目から涙が一筋流れた。


「なんで…優輝と同じこと言うの…?」

「えっ…。」


さっきまであんなに怒っていた澪が泣くのを見て戸惑った。どうしたらいいかわからず、俺は澪に殴られるのも覚悟して彼女に近付いた。

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