心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
けれどさっきのバルコニーでの出来事を思い返すと、
少しばかり頑なな態度になってしまうのは仕方ないのかもしれない。
まだ自分たちの結婚生活は始まったばかりだ。
これからゆっくりと距離を縮めていくとしよう。

「王妃様のために陛下が心を込めてご準備なさったのに、王妃様は心がないですわね。あのドレスだって、お針子たちがどれだけの労力をかけて作ったことか・・・私なら、這ってでも出席しますのに。」
ヴァールはそう言って眉をひそめるが、
オーディンは苦笑いだ。
(君のそのドレスの方が、王妃のものに比べて何倍も費用がかかっているんだが・・・)
「残念だが、王妃が怖い思いをしたのも事実だ。無理強いは出来ない。王妃は欠席ということで進めよう。」
「はい。ではそのように。」

ヴァールは優雅な微笑みを浮かべると、
侍従たちに指示を出すべくドレスを翻して颯爽と去って行った。
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