心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
一方のオーディンは―――。

晩餐会の時間が刻々と迫る中、
フレイアは一向に姿を見せない。
具合でも悪いのだろうかと不安になって来た。

女性の控室に男性が行くものではないと思いながらも、
オーディンは堪らなくなって
フレイアのために用意していた控室へと向かう。
恐るおそるノックしてみたが返事はない。

(誰もいないのだろうか?)
そっと扉を開くと、控室にはフレイア本人はおろか侍女の1人もいない。
広い部屋の真ん中には、
フレイアのために用意した夜会用のドレスが鎮座していた。

「王妃様は欠席されるそうですよ。」
扇子で半分顔を隠しながら、
盛装に身を包んだヴァールが声をかける。
「欠席?気分が優れないのか?」
「侍女の話によれば、自分へ無礼な態度を取るビフレストの国民の前には姿を見せたくないとのことです。今後もどうしても必要な場面以外は人前に出るつもりはないと。陛下もギムレー宮には来ないでいただきたいと泣き叫んでいたとか。」

先ほど自分が見たフレイアは
少なくとも自分のことは受け入れてくれていると思っていたので、
自分すらも拒絶する言葉はオーディンにとって非常にショックだった。
王妃が本当にそんなことを言ったのだろうか。
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