心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
「恐ろしい世の中になりましたねぇ。」
巷での魔女狩りが深刻さを増すにつれて、
トゥーラも浮かない表情を浮かべることが多くなった。
魔女じゃないかと噂されることを怖れて、
女性たちは家の中に引きこもってしまい、
街の中心部からは活気が喪われていた。
トゥーラの母や叔母たちも
ビクビクしながら生活しているという。

フレイアはこの状況に心を痛めつつ、
何もできない自分に歯痒さを感じてもいた。
魔女狩りの対象は
アスラウグに縁のあるものも含まれており、
100%アスラウグ人のフレイアとは関わりたくないと
昔の四面楚歌の状態に逆戻り。
変わらずお世話してくれるトゥーラが
珍しいくらいだ。
「貴族の方たちでも体調不良を訴える方が多くなってきたそうです。王妃様はお変わりありませんか?」
「えぇ。私は全く。」
「それはようございましたわ。そんな王妃様にプレゼントがあるんです。」
トゥーラは満面の笑みを浮かべて
小包を差し出した。
「お誕生日おめでとうございます、王妃様。」

長いこと誕生日を祝われたことのないフレイアは
今日が自分の誕生日ということさえ失念していた。
フレイアがポカンとした顔をするので、
トゥーラは途端に困惑してしまう。
「あれ、王妃様の誕生日は今日ではなかったでしょうか。」
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