ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
果実たちの選択/その12
ケイコ



車から降りてきた久美は、タバコを咥えていた

こいつ、すっかりガラ悪くなってるわ

「聞いてると思うけど、私抜けたから、南玉。んでさ、今、新南玉連合っての立ち上げててさ、へへ…」

そう言うと、久美は運転席の男を指さして、ニヤケながら話を続けた

「あの人、相和会の”正式”さんだよ。”ウシロ”が付いて、真樹子さんとも手を組んでさ、数は南玉に迫ってる。ウチら、いずれ”あっち”を吸収するつもりだよ。アンタも真樹子さんとはいろいろだったってのは聞いてるけどよ、今の私ならクッションになれる。どうだ?」

多美から聞いたまんまだわ

しかし…、久美がここまで性悪だとは思わなかった…

「お断りだ。話になんねえよ。アンタが何しようと勝手だ。でも、そこの”正式”さん、”あの時”の”お相手”だってな。お前、腐ってるよ。そんなんで、祥子や多美に張れっこない。少しアタマ、冷やすんだな」

「黙んな!お前が口出す立場かよ!クスリでボロボロの前科もんに言われたくねえっての!まあ、麻衣みたいな廃人状態じゃねえようだけどな(笑)。そんなさあ…、”代償”払わなくったって、私なんかスマートに”バック”、付けてるしね」

このバカ、ニヤケ面で得意げだ

「”股”汚してるアホよりマシだわ。さっさと消えな!今、私は機嫌悪いんだ。なんなら、サシでやってやろうか?」

するとこいつ、顔を赤らめて、車に向かって声を上げた

「ちょっとー、アツシ、降りて来てよ!」

来た来た…、汚い股の下で繋がった”ウシロ”とやらが…


...



「おう、久美、どうした?」

「この女、あんたとの仲、侮辱したよ。アイサツしてやって!」

全く…、なんだよ、このタンカ

これじゃ、チンピラヤクザの情婦じゃん

「ん…?あ…、いや、俺、車にいるからよ…」

サングラス姿のチョイデブのお兄さんは私の顔、じっと見てから
何故だか、ちょこんと頭を下げてる…

そんで、また車に戻ろうとしてるわ

「アツシ、ちょっと、どうしたのよ?一発カマしてやってよ、アイツにさ…」

「あの子、ダメだよ。エライさん連中と懇意なんだ、やばいわ。さ、早いとこ行こうぜ」

「え?なんなのよ、それ…、ちょっとー!」

こいつら、何、小声でごちゃごちゃやってんだよ!

早くしねえとバス、来ちゃうだろうか!


...



「おい、久美‼どうすんだ、私とやる度胸あんのかよ‼やるんなら、ここでもいいんだぜ!」

私は久美のアロハの襟、むんずと掴んで怒鳴った

結構でかい声だったので、通行人もこっち見てるし

フン、構わねえよ、別に…

どうせ、このまま停学続いて、結局退学だよ、きっと

なら、いっそ、このクソ女をペシャンコにしてやる!

また警察行きなら、それでもいいさ

もうどうでも…

「ああ…、おけい、落ち着けよ、なあ…。お前は麻衣とは違うんだ、今後も協力関係でさ…」

はー?

ふざけんな、もう噴火寸前だっての‼

「麻衣がよう、またおけいと組んで、南玉戻るってウワサだったからよ…。アンタがその気なら、今のうちと思ってさ。…だから、いきなり牽制しちゃったんだよ」

「麻衣がそんなこと、言ってんのか?」

「私は又聞きだけどよ、もうすぐ病院出て、カムバック目論んでるって、もっぱらだよ」


...



「おい、その病院ってどこだ?教えろ!」

「相模浦中央だよ。個室のホテルみたいなところでさ、優雅らしいぜ。おかげで警察の”檻”、パス出来たって。クスリどっぷりでも、ワル知恵は相変わらずだよ」

麻衣のヤロー、アキラと私を尻目に、自分だけホテル並みの病室でおくつろぎか!

てめーの描いた絵だろうが!

ふざけやがって~‼

もう、ブチ切れだわ!

「いいか‼…今度、私の前で茶化した態度なら、その場で潰すぞ!こんなナリも不快だから、見かけたら毟るからな!そんで、麻衣とは、”直”ではっきりだ!」

そう凄むと、久美はヘラヘラしながら車に駆け込んだ


...



ようし、こうなったらアキラと会う前に麻衣とケリだ

場合によっちゃ、その場でヤッてやる

相模浦中央病院なら、バス乗っても11時過ぎには着く…

待ってろ…!

昼飯前には行くからな、麻衣…‼







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