ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
果実たちの選択/その13
アキラ



「はは…、まあ、そんなに難しく考えなくてもいいじゃない。それより、あなた、これでおけいを納得させられるの?あいつ、私のこと殺したいくらい憎んでるらしいよ。剣崎さんから聞いたでしょ?錯乱状態だったってさ」

麻衣のヤツ、はぐらかしやがった

いつもこうやって、人を惑わすんだ

しかし、単なるハッタリでは終わらない

それがコイツの恐いところだ

そのことは今までいやというほど、味わってきたし

常に先を見切った上でだから、油断できないんだ、決して

「もうお前と接触させなきゃ、終わりだよ。こっちも最後だ。おせっかい言わせてもらうけど、これ以上何か企んだら、やばいぞ。もう止めといたほうがいい」

「アキラ、それってさ、おせっかいというより、私のこと心配してんじゃん。まあ、嬉しいけど。私のこと憎んでる女を愛してる人からさ、心配されるなんてね」

これも麻衣のいつもの言い回しだ

深みにはまるとまた面倒だし、そろそろ切り上げなきゃ…

「オレはお前のこと、心配なんかしてないよ。勘違いすんなよな。じゃあ、これで…」

そこまでオレが話しかけたところで、部屋に誰か入ってきた


...



「ああ、面会の人来てるの?」

「アキラ、あれ、私のお母さんよ。せっかくだから紹介するわ」

お母さんか、この人…、麻衣の

まあ、母親が病室に出入りくらい、全然不思議はないんだが…

どうも麻衣には、こんなことでも構えてしまうクセがついてしまったようだ

「お母さん、この人ね、香月明さんて人。いつも親切にしてもらっているのよ。挨拶してちょうだい」

オレは「はじめまして」とだけ言って、小柄な40代らしき”この人”にお辞儀した

「まあ…、いつも娘がお世話になってて。麻衣の母親です。この度はいろいろと、ご迷惑おかけしちゃってるんでしょうね。許してあげてくださね…、はあ…、ウチの娘もね…」

「お母さん、初対面の人にそんな長々は失礼でしょ」

なんだよ、麻衣のヤロウ、親にも散々迷惑かけてるはずなのに、しゃあしゃあとしやがって

とは言え、コイツのことだ

母親を使って、何か計算ずくかも知れないし、むやみな反応は表に出せない






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