卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
一体、どうしたら・・・
「この人、俺の彼女なんだ。手、離してくれるかな」
彼の腕を掴んで、威嚇したのは北見くんだった。
「ぼ、僕はただ・・・」
「わかったから、もう行け。女性に乱暴な事はするなよ。優しくしないと。いいな」
「は、はい」
その子は慌てて走って行った。
「だから言っただろ。勉強教える時は、教師になりきれよ」
北見くんの言葉が胸に突き刺さる。
教師の頃は、距離を置いて教えていた。
ただ、今は勉強を教えるのが楽しくて、友達みたいに接していた。
でも、それがあの子を惑わせることになってしまった。
「ごめん、気をつけるね」
そう言いながら北見くんを見上げると、じっと見つめられて、腕を引っ張られ、そのまま抱きしめられた。
「俺が来なかったら、どうするんだよ」
「北見くん・・・」
「もっと自覚しろよ。可愛いってことを」
大人になった北見くんの腕に抱かれて、胸がドキドキしてる。
「こ、こら。大人をからかわないの」
胸を押して、北見くんの腕から離れた。
「俺、もう大人だけど?」
「わ、私の方が年上なんだから」
「あの頃の先生との年の差は大きかったけど、今は年の差を感じないよ」
北見くんの真剣な眼差しに見つめられて、思わず息をのんだ。
「先生、家庭教師もしてるんだって?それって男子もなの?」
「う、うん。ここに来てくれてる子達だから、安心だし、親御さんがいる時にしてるから」
すると、腕を持ち、顔が近づくほど、体を引き寄せられた。
「今の俺と、高校生の力は、そんなに変らないよ。分かる?この意味」
「・・・そ、それは」
「親が居ても、部屋に入れば2人だけ。一瞬の間で唇は奪える」
顎に手を当て、顔を上に向けられた。
北見くんに見つめられて、身動きが取れない。
「ほんと、危なっかしい」
そして、北見くんは私から離れた。
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