卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
そして、そのあと直ぐに、また美和と楽しそうに、笑いながら話し出した。
この胸がぎゅっと、息苦しくなる感覚。
間違いなく私、2人に嫉妬してる。
足早に2人を見ることなく、飲み物を取って、教室に戻った。

教室が終わり、皆が帰ったあと、教室を片付けていた。
「先生、さっき俺のこと、見てたよね。もしかして、山坂さんと話してたの、嫉妬した?」
片付けている私の後ろから、北見くんが、耳元で囁いた。
「そ、そんな事無いわよ」
「ふぅーん、先生は俺が他の女の人と仲良くしても、平気なんだ。せっかく先生に会いに来てるのに」
私は、北見くんへの想いをはぐらかすために、咄嗟に、
「北見くんが誰と仲良くしようと、来ても来なくても、別に私には関係ないから」
と、心にもないことを言ってしまった。
「本気で・・・そう思ってるの、先生」
北見くんが私の横に来て、悲しそうな瞳で見つめる。
自分の勝手な想いに、つい、イライラした気持ちを北見くんにぶつけてしまった。
私ったら大人げない。
「ごめん・・・今のは言い過ぎた」
「俺は先生に嫉妬して欲しいよ。嫉妬してくれた方が嬉しい。でも、関係ないって言われるのは辛いから」
「うん。大人げなくてごめんね」
しばらく沈黙が続いた。
「・・・先生、俺、」
その言葉に私が北見くんを見ると、真剣な眼差しで、私を見つめていた。
目が離せない。
その瞳に吸い込まれそうで、身動きが取れない。
「奈菜―、こっちに来て手伝ってー」
美和が呼ぶ声に、我に戻る。
「はーい、直ぐ行くねぇ」
私は北見くんの方を見て、
「行くね、北見くん」
「あ、あぁ・・・先生。俺帰るけど、また来ていい?」
「うん、待ってるね」
北見くんに笑顔が戻り、2人は部屋を出た。

それからも、お店は順調にお客さんが入れ替わり、忙しい毎日が続いた。
北見くんは案件が重なって、たまに昼間に来ては、コーヒーを飲んで
「あぁー、生き返るよ」
と飲み終わって、直ぐに帰って行った。
たまに電話が掛かってきて、
「先生の声、聞きたくなっただけ。ほっとするよ」
その言葉に、思わず「私も」と言いそうになる。
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