卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
ようやく俺に気づいたらしく、笑顔でこっちに駆け出してくる。
「またやっちゃった」
ほんとドジなんだから。
でも、駆け寄ってきて、そのまま抱きしめたいくらいに可愛かった。
「来てくれたんだ」
「はい」
髪を拭きながら、笑顔の先生に、俺の鼓動は早くなる。
「先生、まだ濡れてるよ。貸して」
タオルを手にとり、髪を拭いてあげる。
「ありがとう」
満面の笑みに俺の想いは溢れて、もうこれ以上、気持ちを抑えるのは限界だった。
2人きりで体育館まで向かう廊下。
先生、好きだよ。
その言葉を言おうとした時、女バスの2人が寄ってきた。
「北見先輩、こんにちは。新庄先生!昨日、男の人と歩いてたでしょ!」
「えっ!み、見たの?」
「はい!あれって・・・先生の彼氏?」
「う、うん、まぁね・・・」
「いいなぁ!頼りがいのある大人の人と付き合ってみたい!」
恥ずかしがる先生の横顔を見て、胸が苦しくなった。
そっかぁ・・・先生、彼氏いるんだ。
俺みたいな子供なんて、相手にならないのか・・・
照れながら話している先生の笑顔を、俺は直視出来なかった。
「先生、俺、先に行くわ」
そういって、足早にその場から立ち去った。

それから何度も、先生の事は諦めようと思った。
でも、諦めようとしても、文化祭や課外授業で先生と過ごすと、やっぱり楽しくて、可愛くて、先生への好きが溢れて来て、先生を好きな自分に引き戻される。
先生が俺を想ってくれなくても、他に好きな人がいても、俺が好きなのは変わりないんだ。

それからは、学校に残らず、図書館に寄り、絶対合格する、その思いで必死に受験勉強にだけ集中した。
その努力が実って、第1志望の大学に合格する事が出来た。
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