卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「いやぁ、まぁ、嬉しい知らせを聞けて、良かったよ」
しばらく先生の近況の話をしたり、俺達の話をして、時間が過ぎていった。
「先生、俺達そろそろ失礼します。また連絡しますね」
「あぁ、来てくれてありがとう。仲良くしろよ!」
「はい」
先生に挨拶を済ませた俺達は、学校をあとにした。

「奈菜の大切な人にも報告しないとな」
本当は1番に報告したかったんだけど・・・
帰りに2人で山坂さんの店に立ち寄って、報告することになった。
山坂さんは、俺達にとって、掛け替えのない存在だ。
前もって山坂さんには奈菜が連絡して、時間を作ってもらった。
「美和、仕事中にごめんね」
「ううん。少し前から準備中にしたから、誰も来ないよ。で、2人で改まって、どうしたの?」
奈菜は、山坂さんが見えるように、左手の甲を向けて指輪を見せた。
「美和。私、耀と結婚することになったんだ」
山坂さんは、何も言わず、奈菜に力強く抱きついた。
「ほんとに、ほんとに良かった・・・良かったよ・・・」
そう言いながら、嗚咽混じりに涙を流していた。
「山坂さん。奈菜が辛いことを乗り越えて、これまで幸せに暮らせたのは、山坂さんが支えてくれたからだと思います。その役目、俺が引き継いでいいですか?」
「もちろんよ、北見くん。奈菜を幸せにしてあげてね」
「はい、約束します」
「ありがとう・・・ありがとう、北見くん。奈菜を宜しくね」
山坂さんは、涙を流しながら、微笑んでいた。

家に帰り、にやにやしながら奈菜は、ずっと指輪を眺めている。
「奈菜、あんまり見過ぎると減って無くなるぞ」
「うそっ!」
奈菜は笑いながら、焦ってた。
浮かれてる奈菜も可愛いと思いながら、話を切り出した。
「奈菜。あとは結婚式だけど、バスケ部の奴ら、呼びたいんだ。いいかな?」
「うん、もちろんよ」
「あいつら、奈菜の事、心配してたし、俺の青春を3年間、一緒に過ごした奴らだから」
「私も会いたい。初めて送り出した卒業生だから」
「あとは、どんな結婚式にしたい?」
「あのね、」
奈菜は、恥ずかしそうに、そして嬉しそうに、話だした。
心が純粋な奈菜は、色んな表情を見せる。
見てて飽きないよ。
ずっとずっと、この笑顔が見れるように、俺は愛するよ、奈菜。
「ねぇ、私の話、聞いてたの?」
「あ、あぁ・・・うそ、ごめん。奈菜が可愛くて聞いてなかった」
「もー、じゃあ、もう1回ね」
「あっ、ちょっと待って。パソコン持ってくるから」
俺はパソコンを持って来て、奈菜と夜遅くまで、結婚式の話をしていた。
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