卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
愛おしくて堪らない。
俺が傍にいなかった時間、1人で泣いていたのかと思うと、胸が張り裂けそうになる。
もっと早くに見つけていたら・・・
何故、奈菜を探さなかったのか・・・
奈菜が俺の腕の中に眠っている時、時々その後悔の念が、俺を襲う。
1人でどんなに寂しかっただろう。
怖がりなのに、どんな思いで、1人暗い部屋の中で我慢してたんだろう。
俺は奈菜を抱きしめながら、涙が溢れ、眠れない日もあった。
でも、どうやってもその時間を取り戻すことは出来ない。
誓うよ、奈菜。
悲しい過去は、俺の愛で全て埋め尽くしてみせるから。
そして、これからもずっと俺の傍で、笑顔で過ごせるように最愛を注ぐから。
「奈菜。返事、聞かせてよ」
奈菜は俺を見つめて、微笑み、
「はい、お願いします」
そう言って、俺の胸に飛び込んできた。
夢見てたよ、この時を・・・
俺は奈菜を、力強く抱きしめた。
諦めずに、自分の気持ちに正直に生きてきて良かった。
嬉しさで胸がいっぱいで、目が潤んだ。
「必ず幸せにするから。ずっと傍にいるから」
「うん。ありがとう、耀」
涙目が気付かれないように、奈菜を抱きしめたまま、呼吸を整えた。
しばらくして、奈菜を体から離して、
「そろそろ川センの所に報告に行こうか」
そう言って、今にも涙が流れ落ちそうな奈菜の瞳を見つめた。
「うん」
「付き合ってる、じゃなくて、結婚報告になるけどな」
「ほんとだ」
奈菜が笑うと溢れ出した涙。
その笑顔に、俺は胸がときめいて、軽くキスをした。
「耀、学校でこんなことしたら」
「誰も見てないよ」
そういって、もう1度愛を確かめる口づけをすると、奈菜は受け止めていた。

川センに結婚の報告をすると、凄くびっくりした顔で、でも嬉しそうに喜んでくれた。
「えっ!そんな事になってたのか。まぁ、2人はあの頃から息合ってたしな。そうか、それはおめでたい。で、結婚式はいつだ?」
「先生、気が早いよ。また連絡するからさ、絶対来てくださいよ」
「あぁ、必ず行くよ。そうか、新庄先生も元気そうで良かった」
「連絡せずにすみません」
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