ワインとチーズとバレエと教授【番外編】

理緒は大学の入学式に出席していた。
一年目はランダムでゼミ分けされ
慣れないゼミの生徒と交流し、
気の合う友達が何名か出来た。

そして、シラバスと
にらめっこし
必須単位を確実に取り
1年間で取れる最大単位も
教務課に提出した。

成績は常に優でなければ
大学院は目指せない。
 
理緒はさっそく、
一年で取れる全講義に出席した。

そして、すぐにバイトも始めた。
母が学費をの支払いを
拒否しているため
自分でキャッシュで
現金を何とか
稼がなければならなかった。

理緒は家庭教師のアルバイトの
面接に行き、すぐ合格し
2名の中学生の女の子を
担当することになった。

他には、イタリアンでの
アルバイトと、
夜の11時から朝の6時までは
通販サイトの
コールセンターの仕事を入れた。

理緒の睡眠時間は
ほとんどなかった。

始発で家に帰り、シャワーを浴び
教科書を入れ替え、再び
六法を持って大学に行くという
忙しい日々が始まった。

それでも理緒は有意義な
キャンパスライフを
満喫していた。

大学はいいー

広々としていて
講堂は静かで
拡張高い講義は理緒を高揚させた。

バイオリンも引き続き
続けていた。

桜田先生が、あまりに忙しい
理緒を心配していたが
理緒は「大丈夫です」と言って
笑って見せた。

他の友達たちは親に
通学費や携帯代や学食代を
もらっているが
理緒は何ももらっていない。

自分で何とかしなければ
ならない学生が、
自分だけだと思い知った。

それでも母は理緒を見捨て続けた。

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