妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)
 オデルの目には、一切の偽りがない。
 本気でそう思っている人間の顔だ。

「自信をもって。皇妃となるのはシルディアなんだから」
「わたしはつがいじゃないって、さっきも……」
「つがい、つがいって、そんなに俺のつがいが気になるの? 仮にシルディアがつがいでなかったとしても、認めさせるから安心して」
「そんな、前例のないこと許されるわけない」
「大丈夫」
「そうは言っても、だって、皇妃はつがいでないと認められず、皇王は錯乱して崩御してしまうって」
「うん。事実だね」
「だったら!」
「ここまで知っていて、なんで気が付かないの?」
「何に……?」

 言葉の意味が分からず首を傾げるシルディアに、笑みを深くしたオデルが呟く。

「俺のつがいは君だよ。シルディア」
「……え?」
「妖精姫の出席する夜会に何度か参加して気が付いたんだ。俺が恋焦がれてやまない存在とそうでない存在が入れ替わっているってね」
「っ、つまり、オデルはわたしだと知った上で、求婚したってこと?」
「そうだよ」
「もし、妖精姫であるフロージェが嫁いで来たらどうしていたの? つがいでなければ死んでしまうのに……」
「妖精の国が、妖精の祝福を一身に受けた姫を他国に渡すわけないだろ? シルディアが来ると確信していたよ」

 困惑を隠せないシルディアの頬をオデルが撫で、耳元に唇を寄せ囁く。

「だから、ね? 俺がシルディアだけを愛してるってわからせてあげるから、早く自覚してね」

 チークキスのように頬と頬を合わせてから離れたオデルは獲物を捕らえたような目をしていた。
< 24 / 137 >

この作品をシェア

pagetop