ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「意外と素直なお方なのですね……。こちらこそ、挨拶をする前に、差し出がましいことを申し上げてしまいました。ご無礼をお許しください。……改めまして、聖女エミ様、ようこそガシュバイフェンへ。私はセバスチャン。このソーオン家に仕える執事です」
「はーい、これからよろぴ~~♡」
「はい、よろしくお願いいたします。そして、こちらが、ディル・K・ソーオン様です。ささ、ご主人様、聖女様にご挨拶を」

 セバスチャンは先ほどから無言で固まっているディルに挨拶を促す。

「……私が、このガシュバイフェンの領主、ディル・K・ソーオンだ」

 あからさまにムッとした顔をしながら、ディルは最低限の挨拶を口にした。椅子から立ち上がることなく、足を組んだまま。
 しかし、ディルの不遜な態度をものともせず、エミはディルの顔をじーっと見つめる。そして、おもむろにそっと手で口を覆い、目をキラキラさせながら、ほう、とため息をついた。

「えー、ちょーイケメンじゃん……。やば……♡」

 その場に衝撃が走った。
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