ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―

聖女、飲む!

 旅商人が帰っていったその夜、ディルが珍しくエミの寝室を訪れた。手になにやら青い袋を持っている。

「……入ってもいいだろうか?」
「えっ、マジで!? ハクシャクからあたしの部屋に来るなんて珍しいね! 早く入って入って♡ 廊下だと寒いっしょ?」

 エミはディルを招き入れる。
 部屋に入ってきたディルは、くつろいだ格好をしていた。湯浴みした後なのだろう。エミもまた、薄手のネグリジェにカーディガンというくつろいだ格好で、いつもの派手な化粧もしていない。あとは寝るだけ、という状態だった。
 エミは恥ずかしそうに頬に手をあてる。

「や~~ん、何度見せてもスッピン恥ずかしめ♡ ハクシャク来るってわかってたら、ばっちしメイクしてたのに……、って、ハクシャク、その袋なぁに?」

 ディルの手にあった青い袋を見て、エミは不思議そうに首を傾げた。

「ああ、これは先ほどの旅商人から、ふたりで夜に見ろと言われたものだ。サービスだとか何とか言ってたが……」
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