ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「いやいやいや、めっちゃ元気だから! あと三回くらいなら余裕だよ?」
「ぐっ、お前はいつもそうやって私を誘惑する……。確かに追加でやっておきたい予備試験はあるが、これ以上負担をかけるわけには……。しかし、今やっておけば……」

 ディルはブツブツと何かつぶやき始めた。普段は死んだ魚のような濁った眼をしているものの、実験をしている時の彼の眼は少年のように輝いている。
 顔に手を当てて悩むディルに、エミは「どーん」と言いながら寄りかかった。

「今さ、あたしってばめっちゃ幸せ感じてるかも♡ ハクシャクが何言ってるかはあんまり分かってないけど、ハクシャクが楽しそうだとあたしも楽しいも~ん♡」
「む、そうか……」

 いつも青白い頬をかすかに赤らめ、ディルは口をモゴモゴさせた。

「わ、私も、今の時間が割と、その……気に入っている……。こうして、お前と一緒にいると、充実しているし、……楽しい」
「や~~ん♡ デレ期サイコ~~」
「お、おい、あまりまとわりつくな! 先ほどの実験でできた結晶が割れてしまう!」

 口では文句を言いながら、なんだかんだでディルはエミを強く拒めない。
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