ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 これまでのアレキセーヌは、エリックのことを否定せず、どんな命令にでも笑顔で従う女だった。それなのに、いまやアレキセーヌの顔からは、いつもの媚びた笑顔が消え失せ、その代わり、冷ややかな笑みが浮かんでいる。

「エリック様は、この期に及んでわたくしが助けにきたと思っていらっしゃるのね? はあ、なんておマヌケさんなのかしら」
「お、おマヌケ、さん……? 俺のことをそう言っているのか、アレキセーヌ!?」

 呆然とするエリックを無視して、アレキセーヌは手に持ったセンスをパチン、と小気味よい音を立てて閉じた。自然な流れで、アレキセーヌに貴族たちの視線が集まる。
 アレキセーヌはにっこり微笑んだ。

「みなさま、よく聞いてくださいまし。今回の爆発騒ぎの首謀者は、第一王子であるエリック様ですわ」

 突然の一言に貴族たちがどよめく。
 人々の困惑をよそに、アレキセーヌは堂々と証言した。

 曰く、国民に人気がある第二王子のロイとその婚約者のサクラに嫉妬したエリックは、二ヶ月ほど前から爆発騒ぎの計画を練っていたらしい。
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