ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―

王子、謀る!

 遡ること4か月前、エミがガシュバイフェンに来る前のこと。
 戦後処理で慌ただしかった王宮もようやく落ち着きが戻ってきつつある。時は春過ぎ、サンクトハノーシュ王国が一番輝く季節だった。
 聖女の目を見張る活躍により、ようやく隣国との戦争も終わり、ようやくサンクトハノーシュ王国に平和が訪れた。もはや、人々は軍靴の音に怯えなくても良いのだ。人々は勝利を祝って夜通し歌い、街は戦いの主たる功労者である聖女たちを讃える声で溢れた。

 そんな中、戦争の功労者であった聖女たち、つまりエミとサクラは、それなりに忙しい日々を過していた。

 戦いの最前線にいた彼女たちは、二人の王子の婚約者として白亜の城に迎えられ、今やテーブルマナーやダンスの教師たちと戦っている真っ最中だ。二人は第一王子と第二王子の婚約者となったため、将来どちらかが王妃となる。そのため、二人は急ピッチで王妃教育を施されていた。

 その日も、サクラとエミはクタクタになって食堂に現れ、夕食の席に着いた。二人は王室御用達の一流家庭教師たちによってみっちりしごかれたのだ。
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