冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
傷ついた表情をする飛鳥馬様に、ジリジリと焦りの気持ちが生まれる。
わたしが思っていたことは、飛鳥馬様にとってはひどいことになるの……?
飛鳥馬様のことが、やっぱりあまりよく分からない。
いくら頑張って探ろうとしてもその言葉の裏に隠された飛鳥馬様の気持ちに気づくことはないし、気分屋な飛鳥馬様を理解するのは何とも難しい。
「は、い……(?)」
「あやちゃん、その顔は分かってないでしょ。とりあえず頷いとけばいっか、とか思って、てきとーにやり過ごしてるんでしょ」
今日の飛鳥馬様は、というかそもそもそこまで深い間柄ではないのだけど(今日でまだ会うのは4回目だし……、いや、そもそも会ってること自体が異常なのか)、
ここまで飛鳥馬様が踏み込んでわたしに話しかけてくるのは、今日が初めてで、内心ビックリしてしまう。
飛鳥馬様はその綺麗な唇を不満気に結んで、少し尖った声でそんなことを言った。