冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


『俺の名前は天馬伊吹。ほら、もう覚えれるでしょ。俺と、付き合って』



つまり、俺は利用したんだ。

どこまでも深い彩夏の優しさに浸け込んで、俺にしか得のないことを無理やり頼み込んだ。


優しい彩夏は、きっと俺からの告白を断れないはずだから。

それにちょっとは、俺が心底嫌いなこの顔を、彩夏が好きになってくれるかもしれないから。


そんな淡い願いを込めて、俺は“一方的で身勝手な告白”という最低なことをした。



『…っ、は、はい。いい、ですよ』



頬を赤く染めて、上目遣いで俺を見つめる彩夏に、きっと俺は知らぬ間に底なしの沼にはまっていったんだろう。


だって、今ではこんなにも、彩夏のことが好きだから。


1年という月日をかけて、俺はきっと重たい彼氏へと化してしまったんだろう。自覚はある。


俺の言葉に、怖がっている彩夏に気づかないフリをして。

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