冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
……っ、まだ、飛鳥馬麗仁の答えも聞いていないんだぞっ。正気になれよ、俺!!
人生最大の敵である飛鳥馬麗仁の言葉を鵜呑みにして、自分の彼女である彩夏を疑うなんて、俺のプライドが許さない。
俺は彩夏が大切で、大好きで、1番愛おしくて、いつだって守ってあげたい存在で……。
俺には彩夏だけで……、彩夏だけいれば、後は全部どうだって良くて。
……だけど。
そう思うのと同時に、彩夏のことを疑ってしまう。
だって、あまりにも事が重なりすぎだ。
今日、俺に何も言わずに俺を置いて家に1人で帰った彩夏。
何度電話をかけようと、心配のメッセージを送ろうと、1度も出てくれなかったし、ずっと未読のままだったスマホのライン画面。
半分死にかけ、もう半分は抜け殻のような状態で彩夏からの着信を待っていたのに、俺の必死の願いは叶うことはなかった。
「───…ふふっ、そうだけど?」