冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


「どういう、ことなの……?」


焦った表情。揺れ動く瞳。あからさまな態度。

その全部が、さっき飛鳥馬様が言ったことの真実性を助長している。


わたしと飛鳥馬様の間には、過去がある……?

初めて出くわしたあの夜の日よりもずっと前に、出会っていた……?


だけど、そんなこと、現実にあるはずがない……。

もしあるとしたら、それはわたしが上流階級の名家の令嬢で、夜の世界に住む側の人間だった場合だけだ。


そういう家の令嬢は、もしかすると飛鳥馬家へ縁談を申し込めるというのを学校のご令嬢方の噂話で聞いたことがある。


それを聞いたのは、東宮内高校で交流会があったあの日のことだ。



「もう、わけが分からないよ……っ」



いつまでも玄関で突っ立ってるままでいるのは時間の無駄だと思って、落ちていた学生鞄を手に靴を脱いでフローリングに上がる。


いつものように各窓のカーテンを閉めながら、階段を上っていく。

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