HONEYHOLIC(3)リゾートシンデレラ~十月十日の結婚生活。ひと夏の偽恋人でしたが、双子を授かりました~
「では、お戻りなられたら、社長室に来るようお伝えください」
「二課の日下が課長に氷室さんの伝言を責任もって、お伝え致します」

氷室さんは日下さんに伝言を頼み、「失礼します」と踵を返してフロアを後にした。

辺りには氷室さんが残していった甘い華の香りが漂っていた。

上品な香水の匂い。
氷室さんにお似合いの香り。

「朝から氷室さんとお喋りできるなんて…ツイてるな…俺」

「氷室さんは私たちに話し掛けて来たのよ…日下さん」

「何言ってんだよ!?二人は派遣だろ?社員である俺が答えるのが筋だろうが…」
日下さん、最初の印象は好印象だった。日を追う毎に、彼の本性が段々と見えて来た。彼は派遣社員の私たちを小馬鹿にして、横柄な態度を取った。


今日は橋本さんと一緒に食堂でランチを摂った。

結局、昼食の時間まで樹生さんがフロアに戻る事はなかった。



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