惚れた弱み


『先輩、かっこよかったです』


ゴンっ


思わず机に突っ伏した。その勢いで額を強打したが、そんなことは気にならなかった。


自分で振っておいてなんだが、かなり威力のある言葉。


――かっこいいって…。


余韻に酔いしれながら、言葉にならない喜びを、赤面しているクマのスタンプで表現した。


机に突っ伏した姿勢のまま顔を上げ、髪を掻き上げる。


『先輩、かっこよかったです』


その文字をまた見て、顔が熱くなるのを感じた。
そして正直な気持ちを言葉にした。


『橋本ちゃんのその言葉だけで、受験が終わるまで頑張れる!』



『俺、褒められて伸びるタイプだから笑』


――欲張りだな、俺も。


2つ目のメッセージは、もっと褒めてほしいという欲が出た。


一か八か。


菜々の次のメッセージを待つ。


しばらくしてからメッセージが表示された。


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