惚れた弱み
「え!?いいの?」
「あ!冗談なら、迷惑でしたよね?」
「いやいや、迷惑なワケないよ。嬉しい。」
そこまで言って、また欲が生まれた。
「…橋本ちゃんが、つけてくれる?」
菜々は「もちろん」と言って博孝の腕につけ始めた。
が、なかなかつけ終わらない。
「あれ、ギリギリかも。」
そう呟く菜々は、ブレスレットを取り付けるのに一生懸命になりすぎて色々な角度から博孝の体に自分の体を近づけてくる。
――ちょ…待って。これは…
お互いの体が近づく度に、菜々からふんわりと、香水のような香りがした。
博孝の腕と菜々の腕が軽く触れ合う。
しまいには、菜々の胸元が、博孝の手に軽く触れた。
――これを意図せずやってる橋本ちゃん、凄すぎる…。
理性がどこかへ行ってしまいそうになるのを必死に堪えながら、菜々の様子を近くでじっと眺めた。