惚れた弱み

「だね。橋本ちゃん、可愛い。」


「…ありがとうございます。」


そう言って、照れくさそうに少し俯いたままの菜々が御礼を言うと、計らずとも上目遣いになった。


その表情に、また心臓を撃ち抜かれる。
また顔が赤くなるのを感じた博孝は、慌てて「写真送るね。ちょっと待って。」と言い、視線をスマホに落として誤魔化した。


菜々とのトーク画面を開いて、先ほど取った写真を表示させる。


お揃いのブレスレットをこちらに向け、少し緊張気味に笑う自分。
その横には、いつもの可愛い笑顔の菜々が写っている。


――これ、告白も上手くいく可能性あるんじゃないか？


２ショット写真に写る自分たちは、もう付き合っているんじゃないかと錯覚するほど、幸せそうに見える。


送信ボタンを押してから、顔を上げた。


「よし、写真送ったよ！…橋本ちゃん？」