惚れた弱み


以前食べた義理チョコのトリュフよりも、舌触りが滑らかで、甘さも程よく抑えられている。お店で売っているレベル、と言ってもいいのではないだろうか。


「うまっ。」


「本当に…?」


不安げな菜々の顔を見ると、またキスしたくなった。


博孝の顔がまた菜々の顔に影を落とす。


目を閉じた菜々の表情を見届けた後、博孝も目を閉じた。


ゆっくりと唇が触れ合う。


ぷにっとした唇の感触を再度楽しんだ後に唇を離し、もう一度角度を変えて、唇を重ねた。


――やべ。橋本ちゃんの唇…柔らかくて、気持ちよすぎ。


しばらく何度か角度を変えた後、チュッと音を立てて、2人の唇が離れる。


「…ね?うまかっただろ?」


そう言った博孝を、菜々は顔を真っ赤にしたまま見上げ「…はい。」と答えた。


とろん、とした表情の菜々。


博孝の心拍数がまたも上がっていく。


――やべ。可愛すぎて止まらないかも。

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