肉を斬らせて骨を断つ

面倒くさいな、と脳が瞬時に察知したから。

「もしかして花火大会? 帰省するって言ってたのにあれ嘘?」
「え、ちょ……」
「なんで嘘吐いたの? やっぱ彼氏いんの? お前の為にあんなに金使ってやったのに、そういうことすんの?」

捲し立てられ、半歩退がる。
なんか、いつもと違う。

酔っているのか、ラリっているのか。アルコール臭はする。

「おい答えろよ」

前の男もそうやって、他人のこと問い詰めれば何も言わないと思ってる奴だったなと思い出す。

こっちは面倒くさくて黙ってただけなのに。
論破して気持ちよくなってんなよ。

< 57 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop