極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
食事や旅館も素敵だったけれど、彼と過ごす時間が幸せいっぱいで……。

ぼんやりと呟いたあと、斜めがけバッグからお土産の小箱を取り出す。

帰路に寄ったジュエリー工房で、水晶をカットしたペンダントを買ったのだ。

宝石の加工技術は山梨の伝統工芸のひとつ。私と彼がお揃いで買ったのは、職人オリジナルのカッティングが施された、世界にたったふたつしかないという対のペンダント。

箱を開けてペンダントを取り出し、水晶を照明に透かしてみる。

「キラキラしてすごく綺麗」

美しさはもちろんだけれど、もう片方を彼が持っていると考えると通じ合えている気がする。

「こんなに幸せなのは、神様がくれたご褒美なのかも……」

いつ終わるかわからない儚い幸せだけれど、今私は確かに満ち足りている。

水晶を手に持ったまま眠りに落ち、目が覚めたのは三時間後。気づけば日が沈んでいた。

「昨日から私、寝てばっかりね」

キッチンでグラスに水を注ぎ水分補給する。

ふと気になって体温を測ると三十六・九度。少し高い気もするけれど、ぎりぎり平熱で踏みとどまっている。

「明日が休みでよかった……」

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