極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
体を動かしたあとは決まって具合が悪くなるのだけれど、彼はどこ吹く風で、血液データを採取できれば満足そうにしていた。

私を研究材料としか考えていないのかもしれない。だがそれでもいい。この症状を抑える薬を作ってくれるなら。

数値が改善して退院しては、また具合が悪くなって病院へ逆戻り。伏見教授がにこにこしながら待っていて、検査をする。

そんな不毛な日々を八年ほど繰り返し、着実に研究データはたまっていった。



「結局、約束は守れなかったね。すまない」

大学病院の特別予約外来で、二十歳になった私を前に、彼は謝罪した。

彼は研究者であり臨床医ではないから、普段は外来に来ないのだけれど、私の定期通院の日は決まって顔を見せてくれた。

「充分です。普通の生活ができるようになりましたから」

症状を完璧に抑え込む薬は開発できなかった。だが、気をつければ普通の生活が送れる程度には回復した。

「君の場合、ストレスや過労を引き金に症状がぐんと悪化する。とにかく心身に負担をかけない生活を心がけてくれ」

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