極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
彼のためを思うなら離れた方がいいに決まっているのに、そばにいてもらえて嬉しいと感じてしまう。ずっとそばにいてほしいと願ってしまう。

病室を出ていく翔琉さんを見送りながら、私はきゅっと唇を引き結んだ。



母が見舞いに来てくれたのは、その日の十三時。面会時間になってすぐのことだ。

いつも私の体調を心配して悲嘆する母だが、この日の興味は私の体調面ではなかった。

「お母さん、星奈の彼氏に会っちゃった。あんなに格好いい人とお付き合いしてたのね」

昨夜、私が眠っている間に翔琉さんに会ったらしいのだ。しかも翔琉さんは「星奈さんとお付き合いしています」と挨拶したそうで――。

「すごく誠実そうで格好いい人ね。星奈の会社の人なんでしょ? うちの子なんかでよければどうぞどうぞもらってくださいって言っちゃったわ」

「お母さん……」

額に手を当てて項垂れる。ただでさえ発熱で体がだるいのに、頭痛までしてきた。

「あまり期待しないで。長く続くかもわからないし」

鬱鬱と答えると、母は自身の頬に手を添えながら「確かに、すごくモテそうな人だものね。浮気が心配」と首を傾げた。

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