極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「失礼なこと言わないで。浮気はしないよ。すごく誠実な人なんだから」

「あら、ラブラブじゃない」

母はむふふと肩を跳ねさせて、三日月形になった目をこちらに向けた。

「そもそも、私、病気だし。誰かとお付き合いできるような体じゃないから」

わずかに声を低くすると、複雑な心境を察したらしく、母は困った顔をした。

「でも星奈に信頼できる人ができたら、お母さんは安心なんだけれど」

ぽつりと呟いて、目を逸らすように窓の外を眺める。

「いつかはママもパパも死ぬでしょう? そのとき星奈を安心して任せられる人がいたら嬉しいんだけど」

母の独白に私は返す言葉を失ってしまう。

二十年以上、ずっと母に看病されて生きてきたけれど、その母もいつまでそばにいてくれるかわからない。

もちろんずっとずっと先の話ではあるけれど、その日は確実にやってくる。

そのとき、私はひとりぼっちかもしれない。

「そんなこと言わないで長生きしてよ」

「もちろん頑張るわよ。でも星奈だってお母さんより長生きしなきゃダメなんだからね?」

教授から言われた言葉が、ふと頭をよぎる。

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