極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「ううん。星奈は私を翔琉さんに紹介したくないだけよ。星奈は昔から私が嫌いなんです。健康だからってひがんでいるんだわ」

「星奈はひがむような女性とは思えませんが」

「それは翔琉さんの前だからですよぉ。家だと横暴で酷いんです。病気だからって両親も強く言えなくて、わがままに育っちゃったから」

まるで他人の話を聞かされているようで、まったく心に響かない。

星奈が横暴――そんなわけがない。いっそもっとわがままに育ってくれたらよかったと思うくらいだ。

少なくとも姉妹関係は見えてきた。姉の恋人にこれだけ悪口を吹き込むくらいだから、仲は悪いのだろう。

「ねえ、翔琉さん。連絡先、交換しませんか? 姉のこと、もっとお話ししたいですし」

彼女がバッグから携帯端末を取り出す。俺は「いや、せっかくだけど」とやんわり断った。

「でも、姉ったら全然連絡くれないし。翔琉さんだけでも連絡が取れたら安心なんですけど」

「連絡なら君のお母さんと取ってるから大丈夫。心配ないよ」

そう言いくるめ、彼女においでと手招きした。

「一階の正面玄関からタクシーに乗れる。駅まで送らせるよ」

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