極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
彼女は一瞬びくりと硬直したが、すぐに負けん気を覗かせ、こちらを睨み返してきた。

「ふたりの間になにがあったかは知らない。だが少なくとも、姉の幸せを壊すような真似は違うだろ」

姉の恋人に陰口を聞かせようとしている時点で、彼女の心の闇がうかがい知れる。

「揃いも揃って星奈星奈って。バカみたい、なんであんな子がいいの? 自分ひとりじゃなんにもできなくて、周りを煩わせてばかりの子なのに」

幼い頃から入退院を繰り返してきた病弱な双子の姉が、彼女の目には忌々しく映るのかもしれない。俺がどうこう言える立場ではないが――。

「俺は星奈を愛してる。そこに文句を言われる筋合いはないよ」

「……っ、うるさい! 病弱ってだけでちやほやされて、なんの苦労も知らないのよ、あの子は!」

叫びながら俺の体を突き飛ばすと、駐車場の出口へ駆けだしていってしまった。

彼女のうしろ姿を眺めながら嘆息する。

――『なんであんな子がいいの?』

「君にはわからないのかもしれないな」

< 186 / 267 >

この作品をシェア

pagetop