極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「伏見教授。彼女の居場所を教えてください」
看護師から『転院した』と聞かされ、すぐさま病棟を出て駐車場に向かった。
耳に当てた携帯端末からマイペースな低音ボイスが聞こえてくる。
『彼女が嫌がっているんだ。恋人には教えないでほしいって』
「迷惑をかけまいとしているだけだ、本心じゃない」
あるいは身を引くつもりなのかもしれない。冷静になって思い返してみれば、先月頃からその兆候はあった。
「気を遣わなくていい」と妙に距離を取ろうとしたり、真っ青な顔をしながら「大丈夫」と言い張ったり。
ひとり思い悩み「彼のために別れよう」なんて極論に至っていても不思議じゃない。
「星奈の病状が俺と生活することで改善される、教授はそう期待してくれたんじゃなかったんですか」
実際、彼女が就職していた頃は病状が安定していた。
これについて教授は、社会貢献に対するモチベーションの維持が彼女の精神を安定させたのだろうと言っていた。