極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
次第に俺は家事係になっていった。風呂掃除や洗濯など、やったことのない家事も、伯父に教わればすぐにできるようになった。

アイロンがけだけは危ないからといってやらせてもらえなかったが。危険度でいえば料理と同じだと思うのだが、伯父は妙なところでこだわる人だった。

モデルルームのように隙間だらけだったリビングが、掃除道具やゲーム、雑誌、学校から持ち帰った工作物などで埋まっていく。

「翔琉は私と違って家庭的だな」

ある日、俺が作った麻婆豆腐を食べながら伯父が感心したように言った。

「それっていいことなの? 男は家事をするより外で働けた方がいいんじゃない?」

「それは偏見だ。男も女も得意なことをやればいい。私の研究所でも頭のいい女性がたくさん働いているよ」

「でも俺もせっかくなら働きたいよ。伯父さんは難病の人を助ける研究をしているんでしょ? 俺も誰かを助けたいな」

すると、珍しく伯父がふんわりと表情を緩めた。

仕事に興味を示されたのが彼なりに嬉しかったのかもしれない。

「研究室に来てみるかい?」

そう言って次の日曜日、俺を大学病院の研究棟に連れていってくれた。

伯父と暮らし始めて三カ月。七月中旬の出来事だった。

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