極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
俺だって悲しい。星奈はもちろん、伯父ともお別れになる。

自分の悲しみを背負うのにいっぱいいっぱいで、星奈の心に寄り添ってやる余裕がなかった。

俺が外の世界に旅立つことは、学校にも行けず病室の中でしか生きられない彼女にとって、見捨てられたのも同然だったのだろうと、今なら理解できる。



結局、俺は実父に引き取られ、都心にある立派な屋敷に引っ越してきた。

家には使用人がたくさんいて、家事をすべてやってくれる。俺は勉強だけしていればよかった。

俺を『家庭的』と褒めてくれる人はもういない。

通学には車の送り迎えがつき、放課後は家に家庭教師が来て勉強を叩き込んでくれる。転入当時、普通だった成績は、学期末テストが終わる頃にはトップになっていた。

俺は実父のあとを継ぎ経営者になるそうだ。

『伯父のような研究者になりたい』とは言えなかった。



春休み。これまで世話になった伯父に挨拶をしてくると使用人に告げ、家を出た。

車で送ります、ひとりでは行かないでくださいとうるさく言われたが、心配ならGPSを確認してくれと開き直り、問答無用で家を出た。

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