極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
伯父の紹介に、彼女はじっと俺を見つめた。しばらくして、思い当たらなかったのかふるふると首を横に振る。

言葉も出ない俺の肩に伯父が手を置く。

「翔琉が発ってすぐ、酷い熱を出してね。脳炎を起こし、一時は命が危うかった。奇跡的に回復したものの脳の一部が損傷していて、一部の記憶が消失してしまったらしい」

え、と掠れた声が漏れた。俺と星奈が過ごした日々が消えてしまった?

「……俺のせい?」

声を震わせて伯父を見上げる。

伯父は星奈の気持ちが上向きになることで、病状が改善すると言っていた。笑えば免疫力がアップする。楽しければ元気になる。

だからこそ俺は、彼女に楽しい思いをたくさんしてもらおうと、病室に足しげく通った。

じゃあ、悲しいことが起きたら? 免疫力が下がるのか?

俺が最後に告げたさよならが、彼女の心も体も壊してしまった?

「翔琉のせいじゃないよ。君は悪くない」

伯父が俺の頭をぎゅっと抱きしめてくれる。一緒に暮らしていたときは、一度も抱きしめてくれなかったのに。

「ただ、君との別れが要因になったのは……研究者として否定はしない」

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