極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
真面目で一生懸命で、でも昔と変わらず純真で、真っ直ぐ夢を追い続ける彼女は、もう守られているだけの女の子じゃない。俺の隣を歩む立派な大人になっていた。

触れ合っていくうちに、気づけば女性として惹かれていた。

「ふたりの過去を取り戻したい。だが、それだけじゃない。今の俺たちはお互いを想い合っている」

幼いふたりにはなかった感情が――愛情が、俺たちを結び付けている。

『翔琉が愛を語る日がくるとはな。成長したものだ』

「はぐらかさないでくれ」

携帯端末を肩に挟みシートベルトを引っぱり出す。

たとえ伯父が星奈の行き先を教えてくれなくとも、自力で探し出すつもりでいた。

「どうせ場所はわかってる。あの病院だろう」

『翔琉』

たしなめるように声をかけられた。

幼い頃からこういうときの伯父には頭が上がらない。俺の暴走を戒めようとしているのだとわかるから。

『星奈くんは研究用の特別病棟にいるよ。私の許可がなければ面会できない』

ぎゅっと奥歯をかみしめる。一般病棟なら入る余地はあったのだが。

幼い頃なら顔パスで入れてくれた守衛も、今はもういない。

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