極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「意識はあるのか? 会話は?」
「話を聞くくらいなら、かろうじて」
そう毅然と答えた伯父だったが、こちらに向けた背中がほんの少し丸く縮んだ。
「ご家族には最後の会話になるかもしれないと伝えた」
すっと背筋が冷え、息を呑み込む。
なんとしてでも伝えたいことがある。俺が行くまでどうか彼女の意識がもちますように、そんな願いを込め、唇を血が滲みそうになるくらい強くかむ。
やってきたエレベーターにふたりで飛び込んだ。俺は伯父と目を合わせないまま真横に立つ。
幼い頃、家を出た一件、そして彼女が記憶を失う一件があってから、伯父とはどことなく気まずくて目を合わせられずにいる。
彼を思って家を出たとはいえ、裏切ったように思われたのではないか。俺が彼女を傷つけたと軽蔑しているのでは――心のどこかにそんな負い目があり、『伯父さん』と呼ぶのを躊躇われ、他人行儀に『伏見教授』と呼ぶようになった。
目的の階につくまでもどかしく思っていると、伯父がおもむろに腕を組んだ。
「幼かった翔琉を星奈くんに会わせたのは、間違いだったと思っている。君に余計な罪悪感を負わせてしまった」
「話を聞くくらいなら、かろうじて」
そう毅然と答えた伯父だったが、こちらに向けた背中がほんの少し丸く縮んだ。
「ご家族には最後の会話になるかもしれないと伝えた」
すっと背筋が冷え、息を呑み込む。
なんとしてでも伝えたいことがある。俺が行くまでどうか彼女の意識がもちますように、そんな願いを込め、唇を血が滲みそうになるくらい強くかむ。
やってきたエレベーターにふたりで飛び込んだ。俺は伯父と目を合わせないまま真横に立つ。
幼い頃、家を出た一件、そして彼女が記憶を失う一件があってから、伯父とはどことなく気まずくて目を合わせられずにいる。
彼を思って家を出たとはいえ、裏切ったように思われたのではないか。俺が彼女を傷つけたと軽蔑しているのでは――心のどこかにそんな負い目があり、『伯父さん』と呼ぶのを躊躇われ、他人行儀に『伏見教授』と呼ぶようになった。
目的の階につくまでもどかしく思っていると、伯父がおもむろに腕を組んだ。
「幼かった翔琉を星奈くんに会わせたのは、間違いだったと思っている。君に余計な罪悪感を負わせてしまった」