極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
体調は少しずつ回復している。一時期はげっそりとこけてしまっていた頬も、だいぶもとに戻ってきた。

毎週見舞いに訪れる翔琉さんが、私を甘やかしてスイーツをたくさん買ってくるから、体重は着実に増加中。

最高級チョコレートにカラフルなマカロン、花を象ったクッキーに、瑞々しい果物の載ったケーキ――私の喜ぶ顔が見たいからと人気のスイーツショップをはしごして買ってきてくれる。

今は点滴も取れ、食事制限もない。伏見教授も「多少は食べてもかまわない」と目を瞑ってくれている。

教授いわく、退院までの道のりは長いけれど、このままいけば以前の生活に戻れるだろうとのこと。

今は希望を胸に日々をこなすのみだ。

穏やかな入院生活が続き、気づけば二カ月が経っていた。



秋も深まってきた頃。翔琉さんが突然、台車に大きな段ボールを載せて病室にやってきた。

「どうしたんですか、それ?」

尋ねると、彼は「目を瞑っていて」と人さし指を口もとに当てた。

言われた通り目を瞑る。がさごそと段ボールを開ける音がする。

「まだだよ。まだ瞑っていて」

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