極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「あなた、祇堂さんに気に入られるために仕事熱心な振りをしてたの? まさか色目使ったんじゃ……」

「と、とんでもない!」

桃野さんならともかく、私が色目を使ったところで祇堂さんがなびくとは思えない。

「今に見ていなさい、絶対追い越してやるわ。仕事も、女としても、私の方があなたより上だって証明してやる」

私に指先を突きつけ宣戦布告。「あのっ」と声をかけるも、桃野さんは背中を向けて去っていってしまった。

抜擢してもらえた理由も不明だが、社長室のことも新社長のことも、なにが起きているのかさっぱりだ。

再びパソコンに向き直り社内連絡を確認する。

【NEW】【重要】と書かれたお知らせに、前社長退任と新社長就任について記されているのを発見した。今日付けの情報だ。

新社長・祇堂翔琉の名前を確認し、信じられない思いで画面を閉じた。



荷物をまとめた段ボールを抱えてエレベーターに乗り込む。

広報部のある十二階から社長室のある十九階へ。

上層階は大会議室や役員室ばかり。上層部と比較的やり取りの多い広報部の人間といえど、来る機会は少ない。

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