極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
目的階に到着しエレベーターが開くと、廊下は下層階とは違いシンと静まり返っていて、自身の足音だけが虚しく響いた。
「ここ……かしら」
【社長執務室】の隣に【社長室】という部署が存在する。
固く閉じられた木製の扉に、ぴかぴかの金プレートが張り付けられている。きっと新設されたオフィスなのだろう。
扉からして仰々しく、広報部のオフィスとは印象がまるで違う。
……私がこんな場所に来てしまって、いいのかしら。
荷物を足もとにいったん下ろし、ううーんと唸る。とはいえ、辞令なのだから悩んでいても仕方がない。
恐る恐るドアをノックしてみると、「はい」という硬い声がして扉が開いた。
出てきたのはシルバーフレームの眼鏡をかけた、短髪の男性。
年齢はおそらく三十代中盤といったところだろう。シャドーストライプのブラックスーツにグレーのネクタイを合わせており、表情からして神経質そうな印象だ。
「本日付けで異動になりました、美守と――」
言いかけたところで、ふと眼鏡の男性の背後に祇堂さんの姿を発見し、思わず声をあげてしまった。
「祇堂さん――」
「ここ……かしら」
【社長執務室】の隣に【社長室】という部署が存在する。
固く閉じられた木製の扉に、ぴかぴかの金プレートが張り付けられている。きっと新設されたオフィスなのだろう。
扉からして仰々しく、広報部のオフィスとは印象がまるで違う。
……私がこんな場所に来てしまって、いいのかしら。
荷物を足もとにいったん下ろし、ううーんと唸る。とはいえ、辞令なのだから悩んでいても仕方がない。
恐る恐るドアをノックしてみると、「はい」という硬い声がして扉が開いた。
出てきたのはシルバーフレームの眼鏡をかけた、短髪の男性。
年齢はおそらく三十代中盤といったところだろう。シャドーストライプのブラックスーツにグレーのネクタイを合わせており、表情からして神経質そうな印象だ。
「本日付けで異動になりました、美守と――」
言いかけたところで、ふと眼鏡の男性の背後に祇堂さんの姿を発見し、思わず声をあげてしまった。
「祇堂さん――」