極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
社長の相棒といえば、普通は副社長とか専務とか、上位の役職者が努めるものだと思うのだけれど。

きっと、彼らを心から信頼できていないんだ……。

ことは深刻で、想像していた以上に多くを求められている。期待が重く圧し掛かり、足が震えそうになる。

自分よりもずっと優秀な祇堂さんに――社長に、私がアドバイスなんてできるかしら。

「こんなことを伺っては失礼かもしれませんが……どうして私なんでしょう?」

経営などかじったこともない、広報部の一社員になぜそんな大役を?

ずっと引っかかっていたことを尋ねると、祇堂さんは真面目な顔でこちらに向き直った。

「優秀で熱意がある――そんな人間にはチャンスを与えるべきだと俺は思っている。『難病で苦しむ患者を救いたい』と君は面接で言っていたね。あの言葉には嘘がないと思った」

この会社に入りたい一心でオーファンドラックについて調べあげ、ときには病院まで足を運び、現場の医師や患者に取材をしてまとめたプレゼン資料。

いざ面接の場で発表すると、数値が予測とは大きく外れていると指摘があった。

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