極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
働き始めてからは体調第一で、仕事のない日はできるだけ休息していた。長期休暇は帰省するので、それ自体が旅行のような感覚だったし。
……今のこの体力なら、旅行もできるかしら?
薬は欠かさず飲んでいるし、発作も最近は出ていない。
きちんと睡眠を取りさえすれば、日中多少慌ただしく動いても、熱が出たり動けなくなったりすることはなくなった。
これまでは普通の生活さえできれば幸せだった。普通に学校へ行って、友達と遊んで、就職して、そんな当たり前の生活ができる体力さえあれば充分だと思っていたのに。
私も旅行がしてみたい――そんな贅沢な願いが湧き上がってくる。
「もし美守さんさえよければ、五月の休暇にでも――」
言いかけて、ふと祇堂さんが固まる。
「いや……これって完全にセクハラか……?」
ぶつぶつ独り言を漏らす彼。
一方私は私で悶々と考え込んでいた。旅行に行ってみたい。ほうとうも食べたいし、温泉にも興味があるし……。
「ぜひお願いします!」
「ごめん、今のはなかったことに――」
結果、ふたりの声が重なった。お互い「え」という声を漏らして顔を見合わせる。
……今のこの体力なら、旅行もできるかしら?
薬は欠かさず飲んでいるし、発作も最近は出ていない。
きちんと睡眠を取りさえすれば、日中多少慌ただしく動いても、熱が出たり動けなくなったりすることはなくなった。
これまでは普通の生活さえできれば幸せだった。普通に学校へ行って、友達と遊んで、就職して、そんな当たり前の生活ができる体力さえあれば充分だと思っていたのに。
私も旅行がしてみたい――そんな贅沢な願いが湧き上がってくる。
「もし美守さんさえよければ、五月の休暇にでも――」
言いかけて、ふと祇堂さんが固まる。
「いや……これって完全にセクハラか……?」
ぶつぶつ独り言を漏らす彼。
一方私は私で悶々と考え込んでいた。旅行に行ってみたい。ほうとうも食べたいし、温泉にも興味があるし……。
「ぜひお願いします!」
「ごめん、今のはなかったことに――」
結果、ふたりの声が重なった。お互い「え」という声を漏らして顔を見合わせる。